こんにちは。フードケアの高橋です。
いつも通りとろみをつけたはずなのに、
とろみが薄いような気がする…
こんな経験はありませんか?
日々とろみをつけていると、手作業だからこそ、とろみの強さに
ズレが出てしまうことがあると思います。
とろみが薄いと感じた時、
とろみ調整食品を『そのまま』足してはいませんか?
実は、とろみ調整食品の追加には、『ダマの危険』が潜んでいるのです。
今回は、
・とろみの程度にはどんな分類があるのか
・とろみの調整が必要な理由
・絶対にやってはいけない調整方法
・正しいとろみの再調整方法
をお伝えします!
ご利用者の方に対して必要なとろみの強さや調整方法が分かると、
より安全に召し上がって頂けるようになるはずです。
この記事が皆様のお役に立てば幸いです。
とろみの程度にはどんな分類があるのか
とろみの程度は、大きく3段階に分類されています。
この分類は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食分類2013に基づいて
決められています。
この分類の中で、ご利用者の方に合ったとろみの強さが必要となります。
【日本摂食嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食分類2013】
薄いとろみ | 中間のとろみ | 濃いとろみ | |
スプーンを傾けると | すっと流れ落ちる | とろとろと流れる | 形状がある程度保たれ、 流れにくい |
フォークですくうと | 歯の間を素早く流れる | 歯の間をゆっくり流れる | 歯の間から流れ出ない |
飲んだ時の感覚 | ストローで容易に吸う ことができる。 | ストローで吸うのは抵抗 がある | ストローで吸うことは 困難 |
(一部抜粋)
とろみの調整が必要な理由
「とろみは、濃くついている方がよさそう!」
と思ったことはありませんか?
確かに、とろみは濃くなるほどに、しっかりとまとまっているので、
一見食べやすそうに見えます。
しかし、濃いほどに、べたつきも増します!
(とろみを強く付けたお茶:自社撮影)
その影響で、のどにべたっと張り付き、逆に食べにくくなってしまう場合もあります。
また、
「強いとろみに慣れてしまうと、その程度より『ゆるいとろみ』が飲みにくくなる」
という利用者の方の声も耳にします。
だからこそ、ご利用者の方の状態に合わせてとろみの程度を調整する必要があります。
絶対にやってはいけない調整方法
とろみをつけた時に、
いつものとろみの強さより薄い
と感じた場合、どのように調整しますか?
「とろみ調整食品をそのまま追加すればいい」と考えた方…
実はそれ…間違いなんです!
とろみ調整食品は、
粉末のまま追加しても、ダマになるだけでとろみは強くなりません!
とろみがついている飲料にとろみ調整食品をそのまま追加するということは
絶対にやめてください。
(とろみ調整食品の追加動画:自社撮影)
動画のように、粉がそのまま混ざらずに残ってしまいます。
このように透明なコップに入れているとダマがはっきり見えます。
ただ、乳白色のコップや、飲み物が牛乳やカフェラテのように不透明だと、
あまりダマが見えずに気づくことができないので、注意が必要です。
ダマを作らないためにも、正しい再調整方法を実践してください!
正しいとろみの再調整方法
とろみの程度が薄い時と濃い時で、対応方法が変わってきます。
下記の方法が取れない場合は、もったいないですが、一度捨てて、
新しい飲料にとろみを付け直すようにしましょう。
とろみが薄い時
(自社撮影)
①同じ飲み物(or 水)に、コップの中のとろみよりも濃くとろみをつける。
②コップの中に①を様子を見ながら加えて、よくかき混ぜる。
③全体が良くなじんで、なめらかになったら完成。
とろみが濃い時
(自社撮影)
①濃いとろみがついているコップの中身に同じ飲み物(or水)を加えて、
30回以上よくかき混ぜる。
②全体が良くなじんで、なめらかになったら完成。
さいごに
医療従事者の指示のもと、
とろみの程度は、ご利用者の方の状態に合わせることが必要です。
とろみの程度がいつもと違った場合の第一選択は、
作り直すことをおすすめします。
あくまで、今回紹介したとろみの調整方法は、
強さを少しだけ調整するための方法であるとご認識ください。
とろみの調整方法を間違えていると、ダマのあるものを提供してしまったり、
ご利用者の方に合わず、むせる原因になってしまいます。
より安全に召し上がっていただくためにも、正しい調整方法を活用して頂ければと思います。
とろみの正しい使い方については、下記関連記事をご覧ください。
【編集:高橋 画像、動画:石川、久保埜】